シビックから始まる!ホンダ名車の魅力と歴史を徹底解説
2024/07/02
開発者の意地が生んだグローバルカー。
ホンダは、世界的に有名な自動車メーカーの一つである。その中でも、シビックをはじめとする名車群は、多くの車好きたちから愛され、長年にわたって多くのファンを獲得してきた。新たな“走りの喜び”を目指して生まれたシビック、その開発裏話をご紹介。当時の開発者のクルマづくりにかけた想いと、細部に至るこだわりを探る。1972年、ここからシビックの輝かしい50年の歴史がスタートした。
そんなホンダの名車たちの魅力や歴史を、詳しく解説していく。さあ、ホンダの名車たちに酔いしれてみよう!
目次
シビックの誕生
1970年、シビックの開発物語は始まった。目指したのは、どこにもないまったく新しいクルマ、Hondaらしい走りの楽しさを実感できるクルマだった。
当時の開発者は上司から「エンジンからマフラーまでの排気系一式を、この予算内でやれ」と言われた。それは到底不可能な数字であったが、開発者には意地があった。「無茶苦茶だと思ったが、やってやろうじゃないかの精神でやり遂げた」。
現在でも多くの小型車に採用されている、エンジンとトランスミッションを横一列に配置するFFレイアウトのジアコーサ方式を採用し理想の走りを目指した。排気量は1169cc、カウンターシャフト無しの軽量ミッション、タイミングベルト式のカムシャフト、センター方式のシンプルで慣性主軸タイプのマニュアルトランスミッション。「サスペンションは4輪独立懸架で、ステアリングもラックアンドピニオン。これならばキビキビと走れる仕様になると思った」(開発者)。
エクステリアはトランクスペースを大胆に削った、日本ではまだ珍しい台形型デザインができ上がった。トレーインパネ、センターメーターパネル、タコメーター、フューエルメーター、水温系などを独立方式でレイアウト。タイプは、2ドアと3ドアハッチバックが用意された。
1972年、初代シビック誕生。Honda独自のデザインと乗りやすさから、日本だけでなくアメリカでも一躍注目される存在となった。アメリカ仕様車にはいち早くCVCCエンジンが搭載され、無鉛にも有鉛にも対応できるバルブシートとなり、燃費の良さも評価された。初代シビック開発者たちの熱い想いは、日本だけでなく世界中のドライバーたちにしっかりと届けられた。
2代目~
1979年に登場した2代目(通称:スーパーシビック)はキープコンセプトながらも、インテリアはスピードメーターとタコメーターを同軸上に配置する「集中ターゲットメーター」を採用。ホンダ初のステーションワゴン「シビック・カントリー」の追加やワンメイクレース「シビックレース」が開催されるなど、話題は多かった。
1983年に登場した3代目(通称:ワンダーシビック)は初代から掲げていた「MM思想(マン・マキシマム・メカ・ミニマム)」を継承しながらデザインやメカニズムを大きく刷新。ボディバリーションは3ドアハッチバック/4ドアに加え、5ドアハッチバックのシャトル(3ドアとは別ボディ)とラインアップも拡大。1984年に1.6リッターDOHC搭載の「Si」が追加、全日本ツーリングカー選手権では好成績を収めるなど走りの良さもアピール。シビック=スポーティを根付かせる源流となったモデルで、販売的にも大ヒットした。
1987年に登場した4代目(通称:グランドシビック)は、ワイド&ローを強調させたデザインに加え、内装質感の大幅向上や4輪ダブルウイッシュボーンサス採用など、このクラスでは贅沢なメカニズムや装備なども多数採用された。1989年に1.6リッタークラス最高の160馬力を誇るDOHC VTECエンジン「B16A」を搭載した「SiR」が登場。走りの良さに加えて上級モデルを超えるパフォーマンスを誇った。
1991年に登場した5代目(通称:スポーツシビック)は、先代同様にロー&ワイドのプロポーションを継承したが、ブラジルのサンバをイメージしたデザインを採用。4ドアセダンは「シビックフェリオ」とサブネームが付き、ハッチバックの「おまけ」ではない独自の販売戦略が取られた。また、北米専売モデルだった2ドアクーペモデルも逆輸入で導入された。幅広いパワートレインも特徴で、1.3リッターSOHC、1.5リッターSOHC(シングルキャブ/VTEC/VTEC-E)、1.6リッターDOHC VTECなどをラインアップ。シャーシやサスペンションの進化により、走りとハンドリングのバランスも高く、今でいうVWゴルフのような存在として高い人気を博した。
6代目~
1995年に登場した6代目(通称:ミラクルシビック)は、キープコンセプトながらも3ドアはCピラーを寝かせたよりスポーティなスタイルを採用。ボディサイズの拡大や3ドアはフェリオと同じホイールベースを採用することにより居住性もアップされた。パワートレインは、1.5リッターが従来のVTECとVTEC-Eを統合した3ステージVTECに進化。トランスミッションは初となるCVT(ホンダマルチマチック)を採用。
2000年に登場した7代目は、ハッチバックとセダン(フェリオ)のバリエーションは変わりがないが、ハッチバックは5ドアのみで、従来のワイド&ローのスタイルからトールワゴンに近いモデルへと大変貌。
2005年に登場した8代目は、「仕向け地のニーズに合わせ最適なモデルを開発する」という考え方から、北米向けはセダンとクーペ、欧州向けはハッチバックのみの設定で、これらは同じシビックを名乗りながらもプラットフォームは別物。
セダン一本の路線は完全に失敗で販売は低迷、ホンダは2010年にシビックの国内販売終了を発表した。日本からシビックの名が消えることにガッカリしたファンも多かったが、それと同時に、欧州向け3ドアをベースにしうた欧州タイプRこと「タイプRユーロ」が限定販売。同じサーキットベストながら欧州の路面で鍛えたしなやかさがウリで初回に導入された2010台は完売。
北米向けは2011年、欧州向けは2012年に9代目が登場。日本向けは通常モデルは設定されなかったが、2015年に登場したタイプRは日本向けも限定ながら設定された。
ついに日本で復活する10代目はセダン・ハッチ・タイプRの3モデル
日本のメーカーは「日本ではこのクラスのハッチバックの人気が……」と言うが、一番の理由は商品力の問題である。じつは10代目を開発した際、あまりのポテンシャルの高さに「こんなにいいなら日本でも!!」と言う流れになったと聞く。また、ハッチバックはイギリスからの輸入車となるが、セダンは日本の寄居工場で生産のため、流通もしやすいのだろう。
もう一つは、ホンダのラインアップの変化である。10代目は世界共通のグローバルプラットフォームを採用するが、8・9代目ハッチバックが採用していたセンタータンクレイアウトをやめたことで、トールワゴンからワイド&ローのスポーティなスタイルを手に入れた。
ホンダ自動車を代表する名車【シビック】
ホンダを代表するシビックは、約50年にわたり世界中で愛され続けてきた車です。歴代モデルは、時代の移り変わりとともに変化するニーズに対応しつつ、仕様変更やモデルチェンジが実施されてきました。
多くの歴代モデルを輩出してきたシビックですが、中古車で流通しているモデルは2017年以降のものが多いようです。なお、旧モデルになるほど入手が難しく、維持費も高額になることを覚えておきましょう。